・あらすじ:
前作でテレポッドを開発しその実験のためにハエ男となってしまった天才科学者セス・ブランドル。
彼の子供を身ごもった恋人ベロニカは、その子供を出産するが生まれた子供の奇怪な姿にショック死してしまう。
だが奇怪な姿の中には人間の姿をした子供が産声をあげていた。
その子供はマーティンと名付けられ、研究施設の中で育てられる。
研究施設の所長バートックの目的は、マーティンが父親セスからハエの遺伝子を受け継いでいるというだけでなく、セスの残したテレポッドの研究を完成させるためだった。
やがてマーティンはわずか5年で成人の姿にまで成長、父譲りの天才的頭脳を発揮してテレポッドの起動を成功させる。
だがマーティンの体に、父親セスと同じ異変が現れ…
・見どころ:
「二世」という映画タイトル通り、この映画の主人公となるのは前作の主人公セスの息子です。
ほぼ一人だけでテレポッドを完成させ、「自分とその周りの世界」が中心だった前作と異なり今作では大掛かりな研究施設が舞台となっていますので前作よりもスケールアップしています。
また、クリーチャーへと変貌を遂げるマーティンの姿も前作以上にパワーアップしており、言われなければ「ハエ」とはわからないグロテスクな姿を見せてくれます。
それだけにホラー色の強かった前作と異なり今作ではアクション色が強くなっており、マーティンとそれを追う施設警備員たちのアクションシーンも見どころです。
・感想:
この映画は前作と比べて見るといろいろと対照的な場面が多くなっています。
たとえば前作の主人公セスは自分がハエになりつつあることに対して絶望し発狂しますが、息子であるマーティンは最後まで理性を失うことなく「人間」に戻ることを諦めません。
同時に、彼の恋人となるベスについても、前作のベロニカと異なりマーティンがハエの姿になっても彼を愛する気持ちに変わりがない、という点も対比すると面白いです。
悲劇的な結末に終わった前作と異なり、今作では(個人的には)ハッピーエンドで完結しており、この点も対照的な点といえるでしょう。
また、テレポッドを起動させるためのパスワードが「パパ」という言葉だったり、無意識のうちに父親を求めていたことがうかがえます。
見た目は成人男性であってもまだ5歳ということで、精神と肉体とのギャップがそのまま映画の演出に反映されている、というのは少し穿った見方でしょうか。
前作に比べ評価の低い今作ですが、個人的には十分楽しめた作品でした。