・あらすじ:
南北戦争時代のアメリカ。
北軍のネイサン・オールグレン大尉は南軍やインディアンたちと戦うさなか、自身の戦争に対する疑念から良心の呵責にさいなまれることになる。
軍を離れたオールグレンは日本の実業家を紹介され、近代国家の建設を目指す日本の軍隊訓練を指揮するために日本へ行くことを決意する。
そんな折、日本の不平士族である勝元が日本の国営鉄道を襲撃、まだ訓練が完成していない部隊を連れてオールグレンは事態の収拾に赴くが勝元率いる侍に対して部隊は敗走、オールグレンは勝元に捕らえられてしまう。
勝元はオールグレンにどこか不思議な魅力を感じ、オールグレンもまた勝元たち侍の生活に惹かれていく。
そんなオールグレンは勝元の妹であるたかに世話をしてもらうようになり、勝元の村で生活をするうちに少しずつたかをはじめ村人とも打ち解けるようになっていくのだった。
だが、時代の流れに逆行する勝元は、近代化を進める日本ではその居場所をなくしつつあった。
・見どころ:
この映画は純然たるアメリカ映画でありながら、日本という国を正面から描いた作品として国内外で高く評価をされた作品です。
特にこの映画をきっかけとして海外からのオファーを受けブレイクした俳優も少なくありません。
中でも渡辺謙は、「硫黄島からの手紙」や「バットマン・ビギンズ」などハリウッド映画にもその後起用されることが増えたことから、この映画で最も知名度を高めた俳優といえるでしょう。
しかし、この映画で忘れてはならない日本人俳優といえば真田広之です。
この映画以降真田広之は活動の拠点をロサンゼルスに移し、その後も数々の映画に出演しています。
・感想:
この映画の主演はトム・クルーズですが、さすがのトム・クルーズも渡辺謙や真田広之といったそうそうたるメンバーの前ではやや存在感も霞みがちです。
真田広之の強烈すぎる存在感に自分が食われると思ったトム・クルーズは、真田広之の出演シーンを大幅にカットしたというまことしやかな話がありますが、これはトム・クルーズが狭量というよりは優れた存在感をもった真田広之を評価すべきでしょう。
とかくこの映画では渡辺謙の佇まいがクローズアップされがちですが、この映画でいう「ラストサムライ」というのは、実は真田広之のことではないかと思ってしまうほど、彼の立ち居振る舞いは素晴らしいものがあります。
多くの映画人たちが彼と仕事をしたいと考えるのもある意味当然といえるでしょう。.