・あらすじ:
ロサンゼルスのとあるレストランで朝食をとる強盗たち。
彼らのひとりであるジョーは、息子とともにダイヤモンドの卸売業者を襲撃する計画をたて、それぞれホワイトやブロンドらコードネームで呼び合う強盗仲間と共に実行に移す。
しかし、この計画は事前に警察の知るところであり、強盗団はかろうじて逃げるもののメンバーの何人かは負傷し、ある者は死亡してしまう。
メンバーのうち誰かが裏切って警察に密告したのではないかという疑惑のもと、メンバーのひとりブロンドが警官を連れてアジトに戻ってくる。
誰が裏切り者なのか、疑心暗鬼になったメンバーたちはその警官を拷問にかけ、残ったメンバーたちもダイヤモンドを奪うために出発する。
やがてアジトではメンバーたちの壮絶な殺し合いが始まろうとしていた。
・見どころ:
この映画は一般的には「低予算映画」といわれていますが、それだけに役者陣については一癖も二癖もあるメンバーが集められています。
まず、主人公格ともいえるのがハーヴェイ・カイテル。
「ピアノ・レッスン」や「U571」での存在感たっぷりの演技力はこの映画でも健在です。
また、「海の上のピアニスト」や「フォー・ルームス」で有名なティム・ロスや「アルマゲドン」「ビッグフィッシュ」のスティーブ・ブシェミなど、とにかく一筋縄ではいかない連中が脇を固めていますので、低予算映画だからといって決して侮れない空気が漂っています。
もちろんタランティーノ監督本人も顔を出していますので、その点も見逃せないポイントといえるかもしれません。
・感想:
言うまでもなくこの映画はクエンティン・タランティーノ監督の処女作として有名な作品です。
ストーリーとしてはあってないがごとくのバイオレンス・アクション作品なのですが、のちにバイオレンス映画の旗手として一時代を築くタランティーノ監督らしい演出が随所にみられます。
特に冒頭のレストランのシーンでは、これから凄惨な殺し合いを展開するであろう強盗団のメンバーたちがそれぞれ他愛もない話で盛り上がっています。
これから襲撃する場所の打ち合わせなどというわけでは決して無く、とにかく世間話をしているというだけではありますが、ここでの話のテーマとなっているのがマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」の解釈というあたりが、なんともいえないタランティーノ節だと思うわけです。
このあたりの「他愛のなさ」がただのバイオレンス映画とは一線を画する部分であり、さすがタランティーノだといわせる所以だといえるでしょう。