・あらすじ:
凶悪殺人犯のインディオが刑務所から脱獄した。
それを追うのは二人の凄腕の賞金稼ぎ・「黒ずくめの男」と「名も無き男」。
インディオにかけられた1万ドルという賞金をめぐり、二人は賞金の山分けを条件に手を結ぶことになる。
こうして、二人の賞金稼ぎと高額の賞金首との死闘が始まった。
・見どころ:
この映画で見逃せないのはやはり「主題歌」でしょう。
多くの人が「西部劇」をイメージする時に心の中で流れるテーマがあるとすれば、それはこの「夕陽のガンマン」の主題歌なのではないでしょうか。
主題歌だけをBGMで聴いてみるとおそらくほとんどの人が「西部劇の曲」だと思うかもしれません。
それほどこの映画の主題歌は、映画の内容とマッチしている名曲です。
作曲したのはイタリアの巨匠エンニオ・モリコーネ。
彼の映画音楽はクリント・イーストウッドとセルジオ・レオーネの「マカロニ・ウェスタン」には欠かせない音楽ですが、もちろんこの他にも「ニュー・シネマ・パラダイス」などでもその才能を発揮しています。
さて、主題歌ばかりに耳を奪われるわけにもいかないのがこの映画の曲者な部分です。
「荒野の用心棒」と同じ西部劇でありながら、「荒野の用心棒」とはまた違った魅力をイーストウッドが醸し出しています。
何より彼には「名前」がありません。
「名前がない」のが名前というのは、なんとも彼らしいハードボイルドな響きにあふれています。
それでいて職業はといえば「賞金稼ぎ」というわけですので、これで面白い映画にならないはずがありません。
映画では脱獄あり、強盗あり、もちろん決闘ありと西部劇に必要なエッセンスをこれでもかとばかりに詰め込んで凝縮しています。
初めて西部劇を見るという人であればまずはこの映画から見ておくのがおすすめではないでしょうか。
カメラアングルも独特なものが多く、見ている側を飽きさせない工夫が凝らされています。
・感想:
この映画を見て思ったことは、「イーストウッドが若い」ということです。
人間というのは若い方が何かと感じる部分も多く、才能も発揮しやすいといわれています。
まさにこの頃のイーストウッドは、若々しく才気にあふれた時期であり、だからこそセルジオ・レオーネ監督の演出にもピタリとはまったのではないでしょうか。
砂煙舞う西部でそこに立っているだけで絵になる存在感は、あの頃のイーストウッドだからこそ醸し出すことができたものであり、それを絵にしたセルジオ・レオーネ監督もまた偉大な監督だったのでしょう。