・あらすじ:
東京の下町に暮らす女子高生・紺野真琴は同級生の間宮千昭や津田功介とともに放課後に野球をして過ごす毎日。
特に運が悪いわけでもなく、頭が悪いわけでもなく、何事もそつなくこなしてきたつもりの彼女だったが、ある日踏切事故に遭遇したことをきっかけに彼女に変化が起こり始める。
体験したはずのことをもう一度過去に戻って体験できる「タイム・リープ」ができることに気づいた彼女は、その能力を様々なことに利用することを思いつく。
遅刻するはずだった朝には定刻通りに登校し、事前に知っておいた抜き打ちテストで満点をとり、果ては妹に食べられてしまったプリンを事前に食べておく等、タイム・リープ能力を満喫する真琴。
そんな折、真琴たち3人のグループのひとり・功介にボランティア部の後輩・果穂が告白をする。
そのことをきっかけとして、真琴たち3人は少しずつ微妙にバランスが崩れ始めることになる。
・見どころ:
筒井康隆の原作「時をかける少女」の続編として作られたアニメ作品です。
この作品では、筒井康隆の原作の主人公である芳山和子(大林宣彦監督の映画では原田知世が演じたキャラクター)が主人公の真琴の叔母として登場します。
このことからも、前作とのつながりがほのめかされるものの、ストーリーについてはそれほど密接な関係はありません。
むしろこの映画の見どころは、タイム・リープそのものよりも高校生の仲良しグループの微妙な変化・ズレにあります。
この映画を監督した細田守は、この作品でその手腕が高く評価され今や宮﨑駿の後継者と目される人物です。
(ただし、細田守監督はスタジオジブリに所属していませんので、ジブリの後継者というわけではありません)
「時をかける少女」の原作を見事に昇華した本作は原作者の筒井康隆からも「本当の第二部」として好評価を得ています。
・感想:
誰でもいつまでも子供でいられるわけではありませんし、その過程において出会いと別れを繰り返します。
中にはとても悲しい別れもあるかもしれません。
それでも人は未来に向って生きていく、そんな細田監督のテーマが感じられた一作でした。
主人公の真琴を演じた仲里依紗をはじめ石田卓也や原沙知絵など、本職の声優さんではない人が多数起用されていますが、全員がそうではなく要所要所で本職の声優さんも出演しています。
このあたりは、細田守監督の映画演出に対するこだわりが感じられる部分といえそうです。