・あらすじ:
雨傘工場を営む夫ロベールの傍ら、自らのセレブな毎日を過ごすスザンヌ。
しかし、ある日夫が心臓発作で倒れ入院してしまう。
そのため急遽夫のかわりに雨傘工場を切り盛りすることになったスザンヌは、
悪戦苦闘の末に少しずつ自身の秘められた才能に気づき始める。
自身の子供やかつての恋人、そして従業員たちの協力を得て雨傘工場の業績も回復、
これこそが自分の生きる道だと感じ始めるスザンヌだったが、そこへ入院していた夫ロベールが退院してくる。
・見どころ
年齢を重ねていろんな意味で「円熟味」を増したカトリーヌ・ドヌーヴがすばらしい演技を見せてくれます。
絵に描いたような「セレブマダム」が一転してこれまでやったこともない仕事に臨む姿は、年齢を重ねたドヌーヴならではの演技でしょう。
この映画ではドヌーヴの相手役としてジェラール・ドパルデューが出演しています。
実はカトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドパルデューはこの映画からさかのぼること30年、「終電車」というアメリカ映画でも共演しています。
ドヌーヴとドパルデューの関係も「終電車」と似ており、二人の過去の共演を知っている人であればより楽しめるのではないでしょうか。
なにより、ドヌーヴの赤いジャージ姿はまさにこの映画を見た人だけの眼福でしょう。
年齢を重ねてもさすがはドヌーヴ、いつまでも美しい姿のままなのがうれしいですね。
・感想:
「雨傘」と聞いてカトリーヌ・ドヌーヴといえば、どうしても彼女の若き日の傑作「シェルブールの雨傘」を思い出してしまいます。
基本的には共通点はほとんどありませんが、子供から「飾り壷」と評されるドヌーヴが歌いながら踊るシーンは、
「シェルブールの雨傘」でも見られたポップでキッチュな雰囲気がでていました。
とはいえ、共演のドパルデューはちょっと太りすぎかも、と思います。
かつての共演作「終電車」と比べるとやはり丸くなったなぁ、ということなのですが・・・。
この映画はコメディ映画なので、年をとって太ったドパルデューも込みで楽しむべきなのでしょう。
ところでこの映画の原題は「Potiche」というそうで、
どこにも「雨傘」という単語がつけられていません。
確かに傘はこの映画でも重要なキーワードではありますが、
おそらくカトリーヌ・ドヌーヴが主演でなければ「しあわせの雨傘」などというタイトルにはならなかったでしょう。
どう考えても「シェルブールの雨傘」にかけて決められたタイトルとしか思えませんが、おかげで楽しむことができました。