・あらすじ:
古代ローマで浴場設計に従事するルシウスは、ある日突然ローマの公衆浴場から21世紀の日本、しかも銭湯へとタイムスリップしてしまう。
その後も何度も日本の銭湯とローマの浴場とを行き来するようになったルシウスは、日本の浴場で数々の近代設備や浴場文化に触れ、それをローマの公衆浴場へと取り入れるようになる。
そんなルシウスと日本で接触したのは、漫画家志望の日本人女性・真実。
彼女はルシウスに興味を惹かれ、彼とコミュニケーションをとるためにラテン語と古代ローマ史を猛勉強、ついにはルシウスと日常会話ができるまでになっていた。
ルシウスは日本で得た知識をもとに斬新な浴場を建設しついに皇帝ハドリアヌスより新たな浴場建設を命じられる。
再び日本へと現れたルシウスだったが、真実と再会したのもつかの間、今度は真実が古代ローマへとタイムスリップしてしまう。
ルシウスと真実、二つの国と二つの時代、そして二つの「浴場」をめぐる冒険が始まった。
・見どころ:
この映画には二つ見どころがあります。
ひとつは、日本人でありながら「濃い顔」の俳優が多数出演しているという点です。
主演の阿部寛をはじめ、市村正親や北村一輝、宍戸開などとにかく「くどい顔」のオンパレード。
舞台が古代ローマとはいえ、日本人が原作の漫画なので日本人主体のキャスティングになるのは当然ではありますが、ここまで濃い顔が大集合することで一定の説得力を与えています。
そしてもうひとつは、日本で得た知識をもとにルシウスが開発した数々の奇想天外な浴場です。
特に泡風呂のメカニズムについては風呂の下で奴隷が頑張って息を吹き続けているというなんとも恐ろしい仕組みとなっており、「浴場」がテーマであるこの映画らしい演出といえます。
・感想:
序盤は日本で得た知識をもとにローマでのルシウスの活躍となっていますが、後半は逆に日本からやってきた真実の冒険がメインとなります。
特に注目したのは真実を演じた上戸彩とそんな彼女をサポートする温泉客たちです。
笹野高史や蛭子能収など個性豊かな俳優たちが大勢出演していましたので、ある意味「濃い顔」の阿部寛たちとの中和がとれて非常にバランスの良い画面構成になっていたのではないでしょうか。
古代ローマの浴場文化に目をつけ日本との対比を上手に描いたこの作品は好評のため続編も作られましたが、濃い俳優たちの怪演も相まってとても楽しい映画に仕上がっています。