・あらすじ:
まだインドシナがフランスの植民地だった1930年代。
インドシナ生まれのフランス人エリアーヌは、友人の遺児であるカミーユを養女として広大なゴム園の経営を行っていた。
ある日エリアーヌは、フランス海軍士官のジャン・バティストと恋に落ちるが、発砲事件に巻き込まれたカミーユがジャン・バティストに助けられたことから彼女もジャン・バティストに想いを寄せるようになる。
しかしジャン・バティストは僻地であるドラゴン島へと左遷されてしまう。
カミーユは幼なじみであるタンとの結婚を承諾するもタンにすべてを説明し、ドラゴン島までジャン・バティストを追いかけていく。
ようやくドラゴン島にたどりついたカミーユだったが、そこで彼女が見たものはフランス軍とインドシナとの現実だった。
・見どころ:
すっかり成熟した女性となったカトリーヌ・ドヌーヴがそれでもやっぱり美しい映画です。
ただし、この映画でストーリーの軸となって活動するのはカトリーヌ・ドヌーヴ本人ではなく彼女が養女としたカミーユであり、ドヌーヴ自身はストーリーの狂言回しとしての役割が強くなっています。
インドシナの歴史的背景には疎いのでよくわかない…という人であっても「昔インドシナはフランスが統治していた」という程度の認識で十分楽しめます。
ドヌーヴのファンだという人であればもうそれだけで堪能することができるのではないでしょうか。
この映画が興味深いのは、製作国がフランスであるという点です。
「インドシナ」本編では、フランス軍の奴隷市場といった描写もある他、インドシナの独立運動が舞台となっていますので、ある意味「自虐史観」のような演出がなされています。
もちろんカミーユとジャン・バティストといったキャラクターはフィクションの中の存在ではありますが、過去と真摯に向き合うという姿勢は評価されて然るべきではないでしょうか。
・感想:
個人的には世界で最も美しい女優と思っているカトリーヌ・ドヌーヴの本当の意味での最高傑作です。
もともと美しい女優というのはそれだけで価値が高いものです。
ただし、女優である以上はただ美しいというだけでなくそれに見合うだけの実力がなければその存在を許されることはできません。
この映画はフランスの植民地だったインドシナでの出来事を描いており、若さや美しさもピークを過ぎたドヌーヴの演技を楽しむことができます。
敢えてストーリーの中心から外すことで彼女の存在感を際立たせるあたり、監督の手腕が発揮された一作ではないでしょうか。