・あらすじ:
アメリカの刑務所には「グリーンマイル」と呼ばれる廊下がある。
死刑囚は、このグリーンマイルを歩き電気椅子に座るのだが、ある日その刑務所にコーフィという死刑囚が送られてくる。
コーフィには不思議な力があり、手で触れることにより病気を治療することができた。
その力を使って看守のポールが長年患っていた尿路感染症を治してしまう。
その様子を見た他の看守たちは、コーフィのもつ力と純粋な心に気づき、彼がグリーンマイルをわたって行く運命にあることに苦悩することになる。
そんなある日、刑務所にウォートンという凶悪犯が送られてくる。
ウォートンを見たコーフィは、看守のひとりパーシーを利用してウォートンを殺そうと考える。
・見どころ:
この映画の見どころは、コーフィのもつ謎の能力にあります。
病気を治療してしまう、そのうえ吸いとった「病気」を他人に送ることができるというこの力は、「グリーンマイル」という映画の肝ともいえる部分です。
「刑務所」という非日常的な空間において、実は「無実の罪」で投獄されていた囚人がいるとして、そしてその人が死刑になろうとしている、これは果たして正義と呼べるのでしょうか。
主演のトム・ハンクスはそんな理不尽な正義に苦悩し、葛藤する姿を好演しています。
もともと演技力に定評のある彼ですが、この映画はトム・ハンクスの演技力を見るというよりも不思議な能力をもっているコーフィという囚人の魅力を見る、これが正しい見方であり映画の見どころだと思うのです。
・感想:
この映画は、いわゆる「号泣映画」のひとつです。
刑務所を舞台としていることもあり、中にはそれはそれは胸糞悪い人間もいますが、コーフィをはじめ登場人物の多くは気持ちの良い人がほとんどです。
見た後はとにかく切ない気持ちになります。
ポールを治療してくれたコーフィは、本当は何も罪を犯していません。
しかし、それでも「人間の世の中に疲れた」コーフィは自ら進んでグリーンマイルを渡り死刑を受け入れます。
死なせたくないと思いつつも死刑を執行するしかない看守たちの姿に、とにかく胸が熱くなります。
ネタバレになりますが、この映画ではポールが100歳をすぎても生きていることが語られます。
「人間の世の中」に疲れ死を選んだコーフィ、そしてそんな彼の死刑を執行したポールが長生きしていることはコーフィの能力による影響であることよりも、「生き続ける」ことが償いということなのかもしれません。