・あらすじ:
フランスの港町シェルブールで将来を誓い合う二人の恋人、ギィとジュヌヴィエーヴ。
しかし、ギィはアルジェリア戦争に参加したフランス軍への入営のためシェルブールの町を離れることになる。
別れを悲しむジュヌヴィエーヴだが、ギィを待ち続けることを決意する。
しかし、戦況は激化、ギィから届く手紙も途絶えがちになり、ジュヌヴィエーヴは待つことに疲れ、苛立ち始めていた。
ジュヌヴィエーヴを見初める資産家のカサール、ジュヌヴィエーヴと同じくギィを待つ幼なじみのマドレーヌ、それぞれの想いを乗せてシェルブールに雨が降る。
・見どころ:
なんといってもこの映画は、「世界で最も美しい女性」といわれたカトリーヌ・ドヌーヴの代表作です。
切ないストーリー、シェルブールの荘厳な町並み、そこに絶世の美女カトリーヌ・ドヌーヴが加わる奇跡のコラボレーション、
それが「シェルブールの雨傘」です。
この映画は、いわゆる「ミュージカル」ですがなんと全編「歌にのせたセリフ回し」となっており、歌っていないシーンは全くの皆無です。
郵便配達夫ですら「ゆうび~ん♪」と言いつつ配達をするほどの徹底ぶりで、モブキャラといえど歌えなければこの映画では人間に非ずといえるほどです。
ミュージカル映画といえば「ウエスト・サイド・ストーリー」や「サウンド・オブ・ミュージック」が有名ですが、ここまで徹底しているのはおそらく「シェルブールの雨傘」ぐらいでしょう。
・感想:
ミュージカル仕立てでの演出ではありますが、かといって楽しい映画かといえば決してそうではありません。
戦争によって引き裂かれた若い恋人たちの悲劇、そんな重いテーマがシェルブールの雨傘の根底には流れています。
個人的にはカトリーヌ・ドヌーヴほどの美女を振るとはなかなかできないことですが、そこはライバルのマドレーヌの作戦勝ちだったのかもしれません。
余談ですが、この映画の主演カトリーヌ・ドヌーヴの母親を演じているのはアンヌ・ヴェルノンです。
彼女自身はそれほど有名な女優さんではありませんが、ドヌーヴに匹敵するほどの美貌を持っており、
彼女と親子関係にあることについての一定の説得力を持っています。
それだけに中盤で突然いなくなってしまう(=死んでしまう)のはとても残念です。
ドヌーヴのライバルとなるマドレーヌを演じたエレン・ファルナーも健康的な色気を持っており、
フランス美女たちの競演を楽しむのも一興といえるかもしれません。