・あらすじ:
ゴローとガンの二人は長距離トラックのドライバー。
二人の共通点は、「ちょっとラーメンにうるさい」というところだが、そんな二人はあるさびれたラーメン屋にやってくる。
そこでは夫の遺したラーメン屋を切り盛りする未亡人のタンポポが店主として働いており、ラーメンの味もまた決して美味いとはいえないものだった。
彼女の幼なじみで土建屋のビスケンがタンポポにしつこく言い寄る姿を見過ごせなかったゴローは、ガンと共にビスケンと対決するがボコボコにやられてしまう。
翌朝、タンポポに介抱されたゴローは彼女からラーメンの手ほどきを頼まれる。
こうしてゴローの指導のもと、「行列のできるラーメン屋」を目指してタンポポの修行が始まった。
そんな彼女の店に次々と個性的な客がやってくる。
・見どころ:
かの有名な伊丹十三監督の「監督第二作」です。
「マルサの女」などで一気にブレイクする伊丹十三監督ですが、この映画ではその「習作」として実に個性豊かな俳優を多数起用しています。
特に男性俳優陣はかなり豪華で、ゴローとガンを山崎努と渡辺謙という「名優コンビ」がいきなり主演を張っています。
この他にも安岡力也や大滝秀治、役所広司など芸達者で個性的な俳優が多数名前を連ねており、いずれも一癖も二癖もある連中ばかりといった風情です。
そんな俳優陣に相対するのがこれまた日本を代表する名女優の宮本信子。
近年では「あまちゃん」の「夏ばっぱ」として知られる彼女ですが、この映画では夫に先立たれたシングルマザーとして登場します。
この映画では多くの男性が彼女のために体を張りますが、それだけの魅力がある女性として描かれており、伊丹十三監督がいかに彼女を大切にしてきたかということがよくわかります。
・感想:
「見どころ」の項でも書きましたが、とにかく宮本信子が魅力的です。
というよりも「可愛い」女性として描写されており、「あまちゃん」の「夏ばっぱ」とはまた違ったイメージを抱かせてくれます。
テンガロンハットをかぶった山崎努やまだ若さゆえの青さが残る渡辺謙など、今では見ることのできない姿も、この映画の良いところといえるでしょう。
ラーメン屋ではありますが最終的には洋風の「コックさん」になっていくという点は少し違和感がありましたが、この当時はこれからバブルになっていく時代です。
これはまだ日本が元気だった頃の映画で、コミカルそれでいてシリアスな部分はしっかりと落とす伊丹十三監督の名作です。