・あらすじ:
ローマに暮らす映画監督・サルバトーレは、母親からアルフレードという男の死を知らされる。
かつてトトという愛称で呼ばれていたサルバトーレは、近所にあった映画館で映写技師のアルフレードと親しくなった。
月日が流れ、自らも映画を撮影するようになったトトはある日少女エレナと知り合い、心を通わせ合う。
しかし軍隊へ徴用されたトトが除隊後に戻ってくるとエレナの姿はなく、映画館にも別の男が映写技師になっていた。
そんなトトにアルフレードは「人生は映画とは違う 人生とは厳しいものだ」と愉し、「おまえの話は聞きたくない おまえの噂が聞きたい」と彼の背を押すのだった。
さらに時が流れ、映画監督となったサルバトーレは故郷の町へと戻ってきた。
かつて彼らが過ごした映画館もすでに取り壊しが決定していたが、サルバトーレはアルフレードの遺品である形見のフィルムを渡される。
そこに写っていたものは…
・見どころ:
この映画についてはもはや説明不要の名作、それ以上の言葉を持ちません。
映画好きだということを公言しているのであれば、この映画を見ずしてその看板は語れないでしょう。
それぐらいストーリーの完成度も高く、演出や脚本も練られている作品です。
この映画の完成度をさらに高めているのは、エンニオ・モリコーネの音楽です。
最近では日本の大河ドラマの音楽を担当することもあるモリコーネの名曲の数々とともに、じっくりと楽しみたい映画です。
・感想:
この映画には「短縮版」と「完全版」の2バージョンが存在します。
個人的にはやはり「完全版」の方がストーリーに深みがあって良いと想います。
映画監督となった主人公サルバトーレの初恋の女性エレナのその後の姿をブリジット・フォッセーが演じていますが、彼女が登場するのは完全版のみとなっています。
ブリジット・フォッセーといえばかの名作「禁じられた遊び」のポーレット役で有名ですが、この映画では当然ながら壮年の女性の姿です。
また、この映画には「名言」が多いことでも有名ですが中でも好きなのは「人にはそれぞれ従うべき星がある」という言葉です。
身の丈にあっっているかどうか、それを見極めることができるかどうか、それが人生というものだと私は解釈しています。
ラストシーンでつぎはぎだらけのフィルムを見るサルバトーレの姿は、いつも涙なくしては見ることができません。
映画が好きな人ならこのシーンには間違いなく共感できることでしょう。