・あらすじ:
京都の高校生・康介は朝鮮高校にサッカーの試合を申し込むために訪問する。
康介自身はともかく、康介の通っている学校と朝鮮高校とは常に争いが絶えない険悪な関係にあった。
案の定朝鮮高校で次々と災難に見舞われる康介だったが、その高校で康介はフルートを吹いている少女・キョンジャと出会う。
フルートの演奏技術もさることながら美少女であるキョンジャに一目惚れした康介は、彼女の気をひくためにギターを購入。
そのうえ韓国語の習得にも力を入れ始める。
ところがキョンジャの兄は朝鮮高校の番長・アンソンだった。
・見どころ:
舞台は1960年代の京都。
この映画は在日朝鮮人の少女と彼女に恋をする少年との物語を軸に進みますが、その背景にあるのは民族問題という極めてデリケートな問題です。
しかし、それよりももっとデリケートなのはその「濃すぎる」出演陣たちです。
まず、主演の康介を演じたのが冨永愛と園山真希絵との二股疑惑が報じられた塩谷瞬。
康介が恋するコリアン美少女・キョンジャに高城剛との離婚騒動で知られる沢尻エリカ。
そのキョンジャの兄・アンソンに宮崎あおいのかつての夫であり不倫報道もあった高岡蒼甫。
と主要メンバー全員がのちに不倫または離婚を経験しています。
ちなみに、この映画の出演者には小出恵介や桐谷健太などのちに「ROOKIES」に出演するメンバーも多数出演しており、彼らの出発点を知るという意味でも重要な位置づけにある映画といえます。
・感想:
ラブコメの体裁をとってはいますが、井筒和幸監督が本当に伝えたかったことは恋物語ではないでしょう。
作品のテーマは「見どころ」の欄でも書いた通りあくまでも民族間の相互誤解とそれを超えた理解にあります。
日本と韓国、朝鮮など近隣諸国との関係は今なお予断を許さない状態であり、決して良好な関係とはいえません。
しかし、それでもわかりあえる努力をすること、歩み寄る努力をすることが大切であるということがこの映画からは感じられます。
「パッチギ!」というタイトルには「乗り越える」などといった意味があるそうですが、いつの日かそれぞれの民族が互いの間にできた溝を乗り越えてわかりあう、そんな日がくることを願いたいところです。
なお、この映画には続編として「パッチギ!Love&Peace」が製作されています。
続編には本作に登場した康介自身が登場しないばかりか、アンソンやキョンジャが登場するものの高岡蒼甫や沢尻エリカが出ないためほとんど別物の作品となっており、個人的には一作目の方が好きです。