・あらすじ:
1918年のニューオーリンズで、ある老人施設の前で赤ちゃんが置き去りにされていた。
その赤ちゃんはベンジャミンと名付けられたが、その姿はまるで老人のようだった。
姿だけでなく身体機能も老人そのものであるベンジャミンだったが、しかし年齢を重ねるごとに少しずつ若返っていく。
杖を使って歩けるほどにまで若返ったベンジャミンは、ある日施設の入居者の孫娘であるデイジーという少女と出会う。
その後さらに成長したベンジャミンは、世界を知りたいと考えて船乗りになることを決意する。
ベンジャミンとの別れを惜しむデイジーもまた、ニューヨークでのバレエ学校のオーディションに合格し、バレエダンサーを目指すことになった。
その後始まる戦争、そして終戦を経て2人は再び交錯するのだが、その先に待っていたのは驚くべき運命だった…。
・見どころ:
画面の構成はさすがデビッド・フィンチャーです。
年老いて死にゆく親の秘密をその子供が語る、という手法はデビッド・フィンチャー監督の編み出したものではないと思いますが、この手法でもこんな見せ方があるのかと正直驚いたものです。
また、ブラッド・ピットの特殊メイクにも注目したいところです。
ストーリーが年をとるごとに若返っていくという少し突拍子もない話だけに、老年期(若者)の頃もブラッド・ピットが演じています。
もしもブラッド・ピットがそのまま年齢を重ねたとしたら、という仮説のもと作られたこの特殊メイクは、その年のアカデミー賞でメイクアップ賞と視覚効果賞を受賞しています。
・見どころ:
ブラッド・ピットとデビッド・フィンチャーといえば、「セブン」「ファイト・クラブ」のコンビですが、この2作にひけをとらない奇抜なドラマ構成となっています。
主人公であるベンジャミンは、年齢を重ねるごとに「若返っていく」という体質です。
当然ながらなぜそんな体質なのかということについては特に説明はありません。
もちろんこの映画のテーマはそんな体質の謎ときなどではなく、「老いと死」という人間にとって普遍のテーマだからです。
映画の中でベンジャミンにとっての運命の人であるデイジーの「永遠はある」という言葉にこそ、この映画が言いたかったテーマがすべて込められているのではないでしょうか。
年齢を重ねることは人によっては恐ろしいことと考えるかもしれません。
それでも人は未来に向かって生きていくしかない、この映画からのメッセージをこのように受け止めています。