・あらすじ:
1974年のニューヨーク。
この町で当時世界で最も高いビルといわれていた「ワールド・トレード・センター」のツインタワービルで、その2つのビルの間をワイヤー1本のみで渡る男がいた。
彼の名はフィリップ・プティ、フランス出身の大道芸人である。
結果としてプティは逮捕されてしまうが、その壮大な命をかけたチャレンジは多くの人々から称賛と拍手をもって迎えられた。
しかし、彼のチャレンジは決して偶然の産物というわけではなく、ワールド・トレード・センターへ侵入するところを始め数かずの用意を周到に整えて初めて成功したものである。
この映画はそんな偉大な大道芸人、フィリップ・プティの挑戦をドキュメンタリー化した作品である…。
・見どころ:
この映画はドキュメンタリー映画の一種であり、中でも最大のクライマックスとも言えるのが「ワールド・トレード・センターの綱渡り」です。
ワールド・トレード・センターのツインタワーといえば、かの「9.11テロ」で崩壊したビルであるということは多くの人の知るところではありますが、かつてその2つのビルの間を綱渡りで渡った男がいたということは21世紀の現在ではそれほど有名な話ではないかもしれません。
この映画はその「命がけのパフォーマンス」までの道のりを非常に丁寧に追いかけています。
フィリップ・プティ本人へのインタビューはもちろんのこと、関係者にも詳細な話を聞くことであのパフォーマンスは何だったのかといった点を少しずつ明らかにしていきます。
この描き方というのが非常にうまく、ドキュメンタリー映画でありながらどこか「サスペンス映画」のような描写となっている点も見逃せないポイントです。
・感想:
この映画を見ようと思ったきっかけ、それは言うまでもなく来年公開予定の映画「ザ・ウォーク」です。
もっとも、「マン・オン・ワイヤー」は純然たるドキュメンタリーなので「作劇」をする必要はなく、役者の演技や演出という点については比較することはできないでしょう。
ただ思うことは、人間というのは本当にいろんなことを考えつくな、ということです。
この映画ではフィリップ・プティ本人がなぜこんな命がけのパフォーマンスに出たか、という原点についても語られていますが到底理解できるものではありませんでした。
それはコチラが「見ている側の人間」でしかないからですが、それを「自分の限界」と感じるのではなく、一種の「役割」なのだと割りきることも大切と感じた映画でした。