・あらすじ:
第二次大戦直後のドイツで、15歳の少年マイケルは年上の女性ハンナと知り合う。
彼女の家に毎日のように通うマイケルは、いつしかハンナと男女の関係となるが、ハンナが彼に望むことは「本の朗読」だった。
マイケルはハンナのために彼女の望むままに本を朗読して聞かせるが、ある日ハンナは自身の仕事の昇進と共にマイケルの元を去っていく。
それから時は流れ、大学生となったマイケルはある日のことナチス戦犯の裁判を傍聴する機会を得る。
だがそこの被告席にいたのはハンナの姿だった。
ハンナの過去に何があったのか、そしてなぜ彼女はマイケルに本の朗読を頼んでいたのか、彼女の供述から少しずつその真実が明らかになっていく。
・見どころ:
ケイト・ウィンスレットが文盲の女性を好演していますが、彼女はこの映画で一躍「演技派女優」としての地位を確立しました。
それまでどうしても「タイタニック」でのイメージが強く、彼女自身もそのイメージからの脱却を図ろうとしていた時期があったのですが、この映画で見事にそのイメージの脱却に成功しています。
共演はイギリスの名優・レイフ・ファインズ。
レイフ・ファインズの最も有名な役は、「ハリー・ポッター」シリーズの闇の帝王ヴォルデモート卿ですが、この映画ではかつて自身の前から去った女性を追う男性を演じています。
レイフ・ファインズはヴォルデモート卿や「タイタンの戦い」のハーデス王など圧倒的な存在感がよく知られていますが、この映画ではそんな彼の違った一面が見られること間違いなしでしょう。
・感想:
正直なところ、この映画を見るまではケイト・ウィンスレットが出ていること以外で見ようというポイントはありませんでした。
が、これを見て思ったのは、ケイト・ウィンスレットが出ているということはそれほど重要ではなく、第二次世界大戦におけるドイツの暗部を描き出したということの明確なイメージです。
確かにケイト・ウィンスレット自身は魅力的な女優ではありますが、彼女が出ている以上にその脚本と演出の素晴らしさこそがこの映画の本当の見どころでしょう。
監督はスティーブン・ダルドリーという人ですが、一般的にはあまり認知度が高い監督とはいえないかもしれません。
「愛を読む人」で他の作品も見たいと思いました。
近作ではトム・ハンクスを起用した「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」という映画が知られていますが、こちらもいずれ紹介したい映画です。