・あらすじ:
南部に住む家と父親を失ったブランチ・デュボアはアルコールに溺れるようになり、妹ステラが住むニューオリンズの街へとやってくる。
ステラの夫であるスタンリーは暴力的な側面を持った男であり、酒を飲むたびにステラに暴力を振るっていたが彼女はそれでも夫を愛していた。
ステラの家に身を寄せていたブランチは、いつしかスタンリーのカード仲間であるミッチに興味をもつようになる。
ミッチは母と暮らす純朴な青年であり、彼もまたブランチとの結婚を考え始める。
だが、スタンリーはブランチが実はずる賢い女であるということをミッチに伝えてしまう。
ブランチの誕生日にはミッチは現れなかったばかりか、スタンリーからは彼女へのプレゼントとして故郷への片道切符を渡されてしまう。
・見どころ:
この映画は「風と共に去りぬ」で有名なヴィヴィアン・リーの晩年の作品であり、アカデミー主演女優賞に輝いた作品でもあります。
「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラ役があまりにも有名になりすぎている彼女ですが、女優としての演技力には定評があり、特にこの「欲望という名の電車」は彼女の女優としての実力を世界にしらしめる作品となりました。
ラストの切なさは、その後の彼女の運命と重なりなんともいえない余韻を残します。
また、この映画にはマーロン・ブランドやキム・ハンターなど演技派の俳優が多数出演していることでも有名です。
特にマーロン・ブランド演じるスタンリーは、とにかく見ていて胸くそ悪くなりそうな男でキム・ハンター演じるステラは一体この男の何が良かったのかと思うほどです。
後に「ゴッドファーザー」や「スーパーマン」で印象深い役を数多く演じることになるマーロン・ブランドもこの当時はまだ20代の俳優ということで、まだ荒削りな演技を見せてくれます。
・感想:
この映画を見て思ったことは「キム・ハンターは意外と美人だな」ということです。
というのは、キム・ハンターといえば「猿の惑星」のジーラ役でしか知らなかったので、「人間の顔」をした状態の彼女を見たことがなかったからです。
そもそもかのヴィヴィアン・リーの妹役ですので、なまじの女優では務まらないとも思っていましたが、実はこの「欲望という名の電車」はもともと舞台が先行作品であり、彼女は先にこの舞台版に出演していました。
キム・ハンターもこの映画でアカデミー助演女優賞を受賞しており、その意味でも実に優れた作品だったことがうかがえます。