・あらすじ:
アメリカとメキシコの国境にある小さな町「サン・ミゲル」
この町にやってきた流れ者のガンマンであるジョーは、酒場を経営するシルバニトからこの町は荒くれ者のミゲルと保安官のバクスターが対立している状況にあると聞かされる。
その状況を聞いたジョーはミゲルとバクスターを同士討ちさせて壊滅させようと考える。
バクスターの手下を殺してミゲルに取り行ったジョーは、しかしバクスター側にも情報を流して両者の対立をあおっていく。
しかし、ミゲルの息子でありライフルの名手でもあるラモンはそんなジョーの行動を常に疑っており、ついにその真の目的がラモンにばれてしまう。
果たしてジョーの運命やいかに?
・見どころ:
この映画は黒澤明監督の傑作「用心棒」をもとに製作された作品です。
そのため、ストーリーの構成はもちろんのこと登場人物など細部にいたるまで「用心棒」とほとんど同じという内容です。
なにしろ裏切りが発覚して敵側に拷問され、その後棺桶屋の協力で脱走する、というところまで同じですのでいくらなんでも「パクリすぎ」でしょう。
このことについては「用心棒」の制作元である東宝も問題視しており、訴えた結果勝訴しているという裏話もあります。
確かに見れば見るほど「用心棒」にそっくりなので、これでは訴えられたら勝ち目はないでしょう。
もっとも、それはそれとして両者を比較しながら見てみるというのもこの映画の楽しみ方のひとつです。
特にラモンを演じたジャン・マリア・ヴォロンテのもつ雰囲気は「用心棒」で主人公のライバルとなる仲代達矢のニヒルな空気を見事に体現したキャラクターを作り上げています。
なお、この映画で日本に対して申し訳ない気持ちをずっと抱いていたクリント・イーストウッドはその罪滅ぼしの一環として「硫黄島からの手紙」を撮影したという逸話もあります。
真偽のほどはともかくとして、イーストウッドの人間性が垣間見えるエピソードではないでしょうか。
・感想:
「荒野の用心棒」を見ようと思ったきっかけは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで「鉄板を仕込んで決闘する」場面がパロディとして紹介されたからでした。
果たして本当にそんな場面がこの映画ではあるのですが、この映画を見てさらに黒澤明監督の「用心棒」も見ようと思うようになりました。
こうやってひとつの映画をきっかけにまた別の映画を見ようと思う、「数珠つなぎ」は映画を見るうえでの醍醐味といえるでしょう。