・あらすじ:
関西電力は黒部川上流に発電所を建設する計画をたてる。
発電所の建設工事を担当することになった責任者の北川は現場主任の岩岡とともに黒部川へ臨む。
岩岡の息子は「破砕帯(フォッサマグナ)」の存在に触れ、黒部川での発電所建設工事が困難を極めることを説明する。
北川は体調不良で現場を離れることとなった岩岡にかわり、その息子に代理を依頼する。
しかし、建設工事は岩岡の予想通り難航、ついにトンネル工事の際に破砕帯にぶつかってしまう。
大規模な水抜きをしなければこれ以上工事が進まないことを知った北川は
水抜きのためのトンネルを掘ることになるが、長引くトンネル工事に現場では諦観のムードがただよい始めていた…。
・見どころ:
この映画は石原裕次郎と三船敏郎の「2大スター」の共演が話題となった映画です。
それだけに、石原裕次郎・三船敏郎の「演技合戦」が大きな見どころではありますが、脇を固める共演陣もかなり豪華なメンバーが配置されています。
また、黒四ダムという一大プロジェクトをテーマにしたスケールの大きさも日本映画史上でも屈指のものとなっています。
もともと石原裕次郎は、「映画は映画館でみるもの」というスタンスのため、長らくこの映画もDVDはもちろんテレビでの放映もされたことがなかったのですが、最近になって解禁されたことから目にする機会も増えてきました。
日本映画の歴史をみても重要な位置づけの作品なので、多くの人に見てもらえることは良いことだと思います。
・感想:
石原裕次郎と三船敏郎の二人が共演しているというだけでもインパクト満点なのに、共演者にも二谷英明や加藤武、大滝秀治など日本を代表する名優がズラリと揃っているというとてもお腹いっぱいの映画です。
長らく「幻の作品」だったのですが、最近になってこの映画を見る機会が増えたことは素直に良いことだと思います。
近年になって香取慎吾主演のバージョンもドラマ化されましたが、やはりこの当時の空気感の再現度などを考えると、比較的時代背景の近いこの頃の映画の方が完成度は高いといえるのではないでしょうか。
また、この映画を見るうえで「黒部の太陽」という映画を作るまでの石原裕次郎の尽力などの背景を知っているとさらに奥深く楽しむことができると思います。
この映画が公開された当時はまだ生まれていませんが、きっと映画公開時にはかなりの話題性があっただろうことは想像に難くありません。