・あらすじ:
クマの曲芸を売り物とするホテルで知り合ったウィンとメアリーはやがて結婚、5人の子供を儲けた。
クマのいるホテルを経営することを夢見ていたウィンは、メアリーの母校である女学校を買い取ってホテルに改築、「ホテル・ニューハンプシャー」と名付け念願のホテル経営をスタートさせる。
ゲイの長男フランク、しっかり者の長女フラニー、そんな姉を敬愛するジョン、文学少女の次女リリー、耳の不自由な三男エッグら5人の子どもたちは、様々な困難を乗り越えながらホテルとともに成長していく。
しかしウィンの父親の死を境にホテルの経営は少しずつ悪化する。
ある日ウィンは、旧知の仲であるフロイトからクマのいるホテルを手に入れたと連絡を受けて家族でオーストリアへと移住する。
しかし、その途中でメアリーとエッグは飛行機事故に遭って死亡してしまう。
第二の「ホテル・ニューハンプシャー」を経営しようと乗り出したウィンたちを待っていたのは、クマのぬいぐるみを着た内向的な少女スージーだった。
・見どころ:
この映画では、ホテル経営を夢見る男性とその一家の物語が次男であるジョンの視点で綴られています。
しかし、特筆すべきはホテル経営を行う一家ではなくクマの着ぐるみを着ているスージーです。
彼女は自身が醜いと思い込んだ内向的な少女であるともに、自身の心のトラウマをクマの着ぐるみに隠して生活をしていますが、その役をナスターシャ・キンスキーにやらせるキャスティングが強烈です。
また、ホテル経営の一家の長女役に若き日のジョディ・フォスターも名前を連ねており、こんな環境ではジョンのごとき多感な若者はまともに成長することは望むべくもないでしょう。
・感想:
この映画はとにかく困難の連続であり、とにかく人がたくさん死にます。
テーマとしてはただの「ホテル経営を夢見る男」のドラマなのですが、それがなぜこんなにも人が死にまくるのか、なぜこんなにも不幸の連鎖が続くのか、なぜこんなにも「うまくいかない」のか。
それでも最後には登場人物はみな前を向いて生きていくことを決意します。
この映画は確かに不幸事が連続して発生しますが、それだけに押しつぶされることなく、ポジティブな思考でそれらを乗り越えていきます。
ゲイや近親相姦など登場するキャラクターはみな総じてどこか「おかしい」のですが、こうした「おかしい」点もすべてポジティブな思考で乗り切っていく、妙なテンションに満ち溢れた映画です。