・あらすじ:
海辺の家に住むジョージは、建築士として働いていたが時代の流れとともに彼の技術は時代遅れとなり、とうとう解雇されてしまう。
さらに追い打ちをかけるように医師からガンを宣告される。
それをきっかけとしてジョージは自分の人生を見つめなおし、「自分の家を自分で作る」ことを決意する。
ジョージは離婚した妻のもとを訪れ、息子のサムを夏休みの間だけ預かることになった。
サムはジョージとの生活に抵抗するが、既に死期の近いジョージはそれを意に介することなく自分の住んでいる「海辺の家」の解体を始める。
幾度と無くぶつかり合うジョージとサム。
だが、それでも少しずつ二人は距離を縮めていき、サムはジョージの家作りの手伝いを始める。
さらにジョージと別れた妻も加わり、彼の家が完成に近づいていくごとに家族の絆も少しずつ戻っていく。
だが、ジョージは自身のガンのことをサムに打ち明けたことで再びサムは心を閉ざしてしまい…。
・見どころ:
この映画の見どころとしては、「家族再生の演出」が秀逸という点です。
主人公ジョージは、自分の家を建てようと考えて工事をはじめますが、かつて失った「家族」を「海辺の家」に投影していた感じがあります。
息子サムを預かるといったのも、劇中にある彼の言葉「おまえに愛されたかった」というセリフに集約されるものであり、家族をもう一度ひとつにするために必要な存在だったからではないでしょうか。
そんなジョージの「家族再生」とともに少しずつできあがっていく彼の家ですが、要所要所で挿入される映像と音楽が実に美しいものとなっており、家族の絆を取り戻していくジョージの心情と相まって見ている側も惹きつけられます。
・感想:
家族の絆を描いた映画というのは実にたくさんあります。
どんな人間であれ誰でも親があるもので、そこには家族がいるわけです。
ただし、家族とはいえ人間関係でもありますので、やはり軋轢も少なからずあるわけで、でもわかりあおうとする、愛されようとします。
この映画はそんな「もう一度わかりあおう」とする家族の姿を描いており、その和解までの過程を実にさりげなく描いています。
この映画はヘイデン・クリステンセンが息子サム役で出演しており、「スター・ウォーズ」のアナキン・スカイウォーカーで有名になる以前の出演作です。
父親と諍いを繰り返しながら成長していく息子という役はベタな役どころながらも実に見応えのある演技だったと思います。