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・あらすじ:
外交官のロバート・ソーンには子供がいなかったが、ダミアンという養子を引き取っていた。
ダミアンはロバートの死産した子供と同じ時刻に誕生した孤児だった。
やがてロバートは駐英大使に任命され、公私ともに充実した日々を過ごしていた矢先、ダミアンの乳母が自殺をしてしまう。
その後もダミアンの周囲で次々と関係者の変死など奇怪な出来事が起こる。
不審に思っていたロバートの前に教会の神父があることを告げる。
「ダミアンは悪魔の子である」
だがその神父はその直後避雷針に貫かれて死亡してしまう。
果たしてダミアンは本当に悪魔の子なのか、それとも…。
・見どころ:
ホラー映画には大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは奇怪な怪物が登場し、その怪物から逃げながらいかに倒す方法を模索するか、というものです。
「13日の金曜日」シリーズなどはこの種類といえます。
そしてもうひとつは、特に怪物が出てくるわけではありませんが、精神的に恐怖感をあおるという種類です。
今回紹介する「オーメン」も後者のタイプのホラー映画であり、奇怪な化け物が襲ってくるということはないものの、少しずつじわじわと恐怖感が観客に迫ってきます。
中でも、特筆すべきはその「惨殺シーン」でしょう。
避雷針で体を串刺しにされる、鉄板に首を切断される、などなど思わず目をそむけたくなるようなシーンのオンパレードです。
それでいてこの映画が名作たりえたのは、「ローマの休日」であのヘップバーンと共演したグレゴリー・ペックの上品な演技があったればこそでしょう。
少し違った言い方をすれば、「上品なホラー映画」という表現がピッタリくるのではないでしょうか。
監督のリチャード・ドナーはのちに「スーパーマン」や「グーニーズ」の監督をしており、その優れた演出力には定評があります。
・感想:
最も怖いホラー映画は何か、ホラー映画が好きな人の間ではしばしばこのような議論が交わされます。
私はこうした議論で必ずこの「オーメン」の名を挙げます。
最初は単なる不安だったものが徐々に不審感へと変わり、それが恐怖に変わる、そんな精神的に圧迫されるような演出が合致することで言い知れぬ恐ろしさが伝わります。
そう、ホラー映画とは「モンスター」が登場しなくても成立するものだということがこの「オーメン」で初めてわかったといえます。
ちなみに、この「オーメン」は続編が製作され、2006年にはリメイク版も公開されましたが、やはりこのオリジナル版が最も怖い作品だったと思います。