・あらすじ:
電気屋で働くショーンは、部下からの人望はなく恋人であるリズや義父フィリップからも罵られてばかりの典型的なダメ人間だった。
リズに振られたショーンは、なじみのウィンチェスター・パブで親友のエドと酒を朝まで飲み明かし、その翌日二人は酔っぱらいの女性にからまれる。
しかし、その女性は実は酔っぱらいではなくゾンビだった。
気がつけば街中はゾンビだらけ、ショーンはエドとともに武器をもってゾンビに立ち向かう。
途中でフィリップが負傷したことを知ったショーンは、このゾンビだらけの状況を恋人リズとヨリを戻すチャンスと判断、エドと協力してウィンチェスター・パブにリズを連れて避難しようと試みる。
次々に出現する大量のゾンビ、そして数々の試練。
果たして彼らは生き延びることができるのか。
・見どころ:
この映画は、ゾンビが登場することからホラー映画にカテゴライズされますが、コメディや恋愛映画としての要素も散りばめられており、そのバランスが非常に秀逸な作品に仕上がっています。
主人公ショーンが典型的なダメ人間であるという点も、ゾンビ映画にはなかった斬新な設定であり、そんなショーンが巻き起こすゾンビとの格闘もコメディとホラーとの境界ギリギリのところで展開されます。
たとえば対ゾンビ用武器として店のレコードを投げるシーンがあるのですが、投げても良いものとそうでないものとを選んで投げたり、と絶妙なギャグシーンが盛り込まれており、それでいて義父フィリップがゾンビ化したり、とシリアスな演出も決して忘れてはいません。
こうしたコメディとホラーとの絶妙なバランスがこの映画のもつ最大の持ち味として発揮されています。
もちろんゾンビの造形にも手抜きはなく、ジョージ・A・ロメロ監督の名作「ゾンビ」に対するオマージュとしても見応えのある作品です。
・感想:
ホラー映画の中でも「ゾンビ映画」はひとつのジャンルとして定着していますが、その一因ともなったのがジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」です。
この映画はそんな「ゾンビ」に対する果てしないオマージュとして作られていますが、ホラー一辺倒の作品というわけではなくむしろコメディカラーの方が強いため、「怖さ」よりも「面白さ」が前面に出ています。
恋愛映画的な要素もありますが、この要素はそれほど色濃くはありませんでした。
それでもラストはハッピーエンドに落ち着くあたり、最後まで安心して見ていられた映画だったと思います。