・あらすじ:
裕福な家庭に育ったヴィクター・フランケンシュタインは、しかし最愛の母の死に際して、「限りある生命」の儚さを憂う。
その後ヴィクターは「永遠の命」を実現することを決意し、科学者への道を歩むことになる。
永遠の命を実現するには生命そのものを作り出す、その研究に没頭するヴィクターは学会で異端視されるウォルドマン教授に師事し、さらに生命創造の研究に打ち込むが、教授は片足の男に刺殺されてしまう。
教授の残したノートをもとに研究を進めたヴィクターは、絞首刑になった片足の男の死体を手に入れ、さらに他の死体から体をつなぎ合わせてひとつの体を作り出す。
そして、ついにヴィクターの手によって人造人間が誕生することになるのだが…。
・見どころ:
これまで数多くの映画が作られてきた「フランケンシュタイン」は、ホラー映画の古典ともいえるテーマのひとつです。
そんな「フランケンシュタイン」の中でもこの作品は間違いなく最高峰のひとつといえるでしょう。
もともと「フランケンシュタイン」といえば、その醜い人造人間が登場することで有名ですが、今作はそんな人造人間の悲哀をも見事に表現しており、ただ怖いというだけでなく見る者の胸をうつ切ない作品に仕上がっています。
監督はイギリスの名優ケネス・ブラナーであり、この「フランケンシュタイン」では主役のヴィクター・フランケンシュタインを演じています。
製作には巨匠フランシス・F・コッポラ。
コッポラ監督は本作より以前には同じくホラー映画の古典である「ドラキュラ」を撮影しています。
ヴィクター・フランケンシュタインに創造される人造人間にはこれまた名優ロバート・デ・ニーロと、とてもホラー映画とは思えない完璧な布陣で作られています。
・感想:
この映画が出るまでは、ホラー映画というものはB級映画というイメージしかなかったのですが、この作品でその認識を改める必要があることを痛感しました。
かのロバート・デ・ニーロがフランケンシュタインの怪物を演じるなどというのは、その当時の映画情勢を知る人であればかなり異常な出来事であり、この映画の登場によってホラー映画というカテゴリーのランクが一気に上がったといっても良いでしょう。
もっとも、映画というものの草創期には既にホラー映画というジャンルが存在したことを考えると、ホラー映画の地位が向上したというよりは元に戻ったと考えるべきなのかもしれません。
その意味では、ホラー映画の古典である「フランケンシュタイン」が再評価されることは一種の「先祖返り」と考えることもできます。