・あらすじ:
ジョエルは最近恋人であるクレメンタインとうまくいっていない。
もうすぐバレンタインだというある日、とうとう彼はクレメンタインと大げんかをしてしまう。
なんとか仲直りをしたいジョエルは、クレメンタインのためにプレゼントを買って彼女の働く本屋へと訪れるが、クレメンタインはジョエルのことを全く知らないという。
実は彼女は、ジョエルに対する怒りのあまり記憶を消すビジネスを展開する「ラクーナ社」を利用して彼のことをすべて忘れていたのだった。
自分のことを忘れてしまったクレメンタインに対するショックから、ジョエルもまたラクーナ社に依頼して彼女のことを忘れようとする。
しかし、記憶を消すための施術のさなかジョエルは思い出す。
クレメンタインとの大切な思い出のことを。
・見どころ:
この映画は「記憶を消す」というビジネスが登場しますが、この段階でSFになるのかといえばあくまでもこれは恋愛映画です。
この「記憶を消す」までの描写は実に秀逸で、見た目にも美しい映像が次々に展開します。
ジョエルを演じるのは天才コメディアンの呼び声も高いジム・キャリーですが、この映画ではコメディタッチの演技は抑え気味であり、「あぁ、こんな素敵な二枚目俳優だったんだな」と実感できます。
そんなジム・キャリーの相手役には「タイタニック」で有名なケイト・ウィンスレットですが、彼女もまた「タイタニック」のローズとはまた違った雰囲気を醸しだしており、彼女の芸達者ぶりがうかがえます。
この映画でもうひとつ忘れてはならないのが「スパイダーマン」でヒロインを演じたキルスティン・ダンストです。
彼女もまた、この映画を通して「良い味」を出し続けています。
・感想:
「記憶を操る」というビジネスといえば多くの人がポール・バーホーベン監督の「トータル・リコール」やリチャード・マシスンの原作に出てきそうな設定を思い浮かべるかもしれません。
かくいう私もその口でしたが、これらの作品が純然たるSF映画になることを目指して構成されているのに対し、この映画は「記憶を消す」こと自体はそれほど大きなテーマではないという違いがあります。
こと恋愛映画において「記憶喪失」はかなり重要なファクターとして利用されるものの、「人為的に記憶喪失になる」というパターンはかなり珍しいと思いました。
この映画でジム・キャリーの違う一面を見ることができたのも良かったと思う点のひとつです。