・あらすじ:
音楽活動を趣味とする薫。
しかし彼女は紫外線にあたることができないという病気をかかえており、太陽が昇る頃には活動ができず、夜になって音楽活動をするという生活だった。
ある日彼女は、家の窓から外を見ているとバス停で待ち合わせをしている孝治という青年を見つける。
孝治はサーフィンで友人と待ち合わせていたが、薫は彼の行動が気になり始める。
その後薫は友人の美咲とともにギターの弾き語りをしている際に偶然通りかかった孝治に気づき自分のプロフィールを渡すことに成功する。
美咲から孝治が彼女が通うはずだった高校に通っていることを聞いた薫は、さらに彼への想いをつのらせていくことに。
やがて薫は、孝治が利用するバス停で彼と再会、孝治は薫の音楽ライブを聴きに行くと約束し、2人の距離は少しずつ縮まっていく。
だが、その間にも薫の病気は進行していき…。
・見どころ:
ミュージシャンであるYUIの映画初主演作品ですが、極めて切ないラブストーリーに仕上がっています。
そもそも彼女の演じる薫は太陽に光にあたることができないという「色素性乾皮症」という難病であり、日が出ている間は活動することができないという相当なハンデを背負っています。
もちろんこれは映画的な誇張の側面もあります。
実際には紫外線に対する抵抗力が弱いこともさることながら、神経障害などもこの病気では報告されており、映画でもこの点については公式サイトにて「実際と異なる表現もある」との記載があります。
とはいえ、このことが映画の質に何ら影響するということはなく、純愛物語としての一定の説得力をもたせるとともに完成度を高めることに成功していることは言うまでもないでしょう。
・感想:
この映画はのちに山田孝之・沢尻エリカのコンビでドラマ化もされました。
ドラマでは映画よりも長い時間必要ということもあり、その分キャラクターの性格描写も深く掘り下げられ、設定も多少映画版とは異なるものとなっています。
映画とドラマがどちらが好きかというのはまた別の機会に譲りますが、いずれにも共通するのは「お涙頂戴のあざとさ」が無いという点です。
そもそも主人公が難病に冒されているという段階で「お涙頂戴」前提なのですが、それだけをテーマとしない作劇は素直に評価されるべきでしょう。
限りある生命でも最後まで燃やし続ける、そんなありふれたことが伝わる作品だからこそ、多くの人が感動するのかもしれません。