あらすじ:
小樽市に住む高校生・ヒロはある日ずっと好きだったシュウに告白をされ、有頂天になる。
しかし、シュウは卒業後に早稲田大学へ進学するために東京へ行くことが決まっていた。
東京に行くこと=ヒロと別れることとわかっていながらなぜ自分に好きだと言うのかと怒るヒロ。
そんなヒロの気持ちを考え、一度は東京行きを断念するシュウだったが、自分のためにシュウの進路を変えてしまったことにヒロは悩む。
そして、シュウもまた自分の本心とヒロとの間で悩むのだった。
見どころ:
この映画はヒロを演じる北乃きいとシュウを演じる岡田将生の瑞々しいカップルが素敵な映画です。
ストーリー自体は淡々と進み、北海道の雄大な自然もさることながら二人の掛け合いが清々しい印象を与えてくれます。
監督・脚本はかつて「あすなろ白書」「ロングバケーション」で90年代のドラマシーンを牽引した北川悦吏子です。
ただし、この映画は「ヒロとシュウの恋の行方は?」のようなラブコメではありません。
好きな人と離れたくない、でも好きな人を応援したい、そんな若者たちの「等身大の悩み」をしっかりと描き切っています。
驚きなのがこの映画のシーンはほとんど役者のアドリブで行われているという点です。
この映画が映画とは思えないほどリアルに感じられるのは、こうした理由もあるのかもしれません。
感想:
まだ共に10代だった北乃きいと岡田将生好演に隠れがちですが、この映画のキーパーソンは書道の先生役で出演している大沢たかおです。
大沢たかお演じる平林先生の言葉は何かと含蓄のあるものが多く、この時期の高校生にとって大きな助けになることでしょう。
現実にはこんな先生はそうそういるものではありませんが、こんな先生がいてほしい、あるいはこんな先生になりたいと思う人がいればこの映画の見方も変わってくるのではないでしょうか。
脇を固める仲里依紗と溝端淳平の「ハチワンダイバー」コンビも息のあった掛け合いを見せてくれますので、自らの高校時代を思い出すこともあるかもしれません。
最後はヒロを演じた北乃きいの笑顔で終わりますが、こんな笑顔の演技ができる北乃きいは、ただかわいいというだけでなく演技派女優としての片鱗も感じさせます。
ただの青春映画ではなく、若いながらも実力の高い俳優が揃っているからこそ平坦なストーリーであっても決してだれることなく見ることができました。