・あらすじ:
ブラジルのヴェローナ・ビーチでは、モンタギュー家とキャピュレット家の2つのマフィアによる抗争が絶えず起こっていた。
モンタギュー家の一人息子であるロミオは、ある日のことキャピュレット家でパーティが行われるという情報を得て親友のマキューシオとともに仮装してそのパーティにもぐりこむ。
そこで彼は、キャピュレット家の娘・ジュリエットと出会い二人はともに惹かれあうことに。
ジュリエットがキャピュレット家の娘であることを知りながらもロミオはその気持ちをおさえきれず、マキューシオの制止を振りきってキャピュレット家を訪ねジュリエットに告白をする。
ジュリエットもまたロミオの気持ちに応え、二人は晴れて相思相愛となるのだが…。
・見どころ:
レオナルド・ディカプリオがその名を世界に轟かせた出世作として有名ですが、ここで見ていただきたいのはかのシェイクスピアの名作を「現代劇」としてアレンジしたその演出でしょう。
ブラジルのビーチが舞台ということもあり、登場人物の多くはアロハシャツを羽織ったファンキーなコスチュームに身を固めています。
何も知らない人が見ればとても「ロミオとジュリエット」がベースになっているとは思えないほどの派手なデザインと演出ですが、よくセリフを聞いてみると随所に「ロミオとジュリエット」らしい内容になっています。
もちろん登場するキャラクターも全員原典である「ロミオとジュリエット」に登場する人物であり、その立ち位置も同じものです。
これまで数多くの監督や出演者によって映画化されてきた「ロミオとジュリエット」ですが、その中でもこの映画が最もユニークで最も印象深いものであることは間違いないでしょう。
・感想:
この当時のレオナルド・ディカプリオといえば、続く「タイタニック」や「ザ・ビーチ」などでアイドル的な人気が高かった時期でもあります。
ディカプリオ本人もそんな自身に求められる姿というものに対して一定の理解をしていたようです。
この映画は、「原典」の「ロミオとジュリエット」と同時に見るとさらに面白さが深まります。
今回はオリヴィア・ハッセーのバージョンと併せて見たのですが、セリフや登場人物に驚くほどの相似性があることに気づきます。
マキューシオに至っては黒人であるにもかかわらず、原典のバージョンとくらべても全く遜色のないキャラクターに造形されているあたり、バズ・ラーマン監督の演出力の高さが伺えます。