・あらすじ:
ロンドンに住む二人の少年、ダニエルとトム。
気が弱いダニエルに対して活発なトムは、対照的な性格でありながら仲の良い友人同士だった。
そんな二人の通うパブリックスクールは規律を重んじる校長のもと、生徒間でも規律を守る者とそれに対する者との間でささやかな対立がしばしば起こっていた。
そんなある日のこと、ダニエルは同じ学校に通う女子生徒・メロディの姿を見て彼女のことが好きになる。
その日からというもの、ダニエルはメロディのことばかり考えるようになるが、メロディもまたダニエルに惹かれていく。
学校をさぼって海に遊びに出かけるダニエルとメロディ、それをとがめる大人たち、そして二人をからかうトムたち。
そんな中でもダニエルとメロディは自分たちの愛が真実であることを語り、「結婚したい」ことを告げる。
・見どころ:
この映画は11歳という年齢の子どもたちが展開するみずみずしい初恋を描いています。
似たようなテーマの映画としてマコーレー・カルキンの「マイ・ガール」という作品がありますが、この映画よりも古い時代の映画でありながら登場人物の関係性はより深いものとなっています。
たとえばダニエルとトムの関係が「深化した人間関係」を顕著にあらわしており、メロディとばかり仲良くするダニエルの姿に「置いてけぼり」になったような違和感を覚えるトムの姿は同年代の友人を取られたと思ってしまう男子のリアルな感情が見受けられます。
そんなトムがダニエルとメロディの結婚式をとりもつ場面はこの映画の名シーンといえるでしょう。
・感想:
この映画は、見る年代によって感想が異なるのではないでしょうか。
10代の頃に見るとどうしても主人公サイドのダニエルやメロディに感情移入してしまいがちですが、年齢を重ねてから見ると周囲の大人の目線で見てしまうことになります。
この映画でもうひとつ語られるのは「周囲の大人の無理解」です。
ただ、年齢を重ねてこの映画で言うところの「無理解な大人」に近い年齢になってくると、必ずしもそれが横暴なだけには見えないということに気が付きます。
大人たちは子供の幸せを願っている、それはまぎれもない事実であり、そのために最善と思われる選択をしている。
でもそれが子供にとっては必ずしも良いこととは限らないということがストーリーの軸となっています。
あの頃あんな大人になりたくない、と思った大人になってはいないか、そんなことを考えさせられる映画です。