・あらすじ:
高校一年の芳山和子は、理科室の掃除中に隣にある実験室から物音が聞こえることに気づく。
誰もいないはずの実験室になぜ?
気になった和子が実験室に入ると、白い煙が漂っており、それを嗅いだ和子は気を失って倒れてしまう。
彼女を保健室まで運んだのは同級生の深町一夫と堀川吾郎だった。
和子は2人に実験室での出来事を相談するが、実験室にはそんな形跡はなかった。
下校中に一夫の家に寄り道した和子は、そこで実験室で嗅いだ香りと同じものが漂っていることに気づく。
「ラベンダーを栽培している」という一夫だったが、その日を皮切りに和子は奇妙な体験をするようになる。
いつの間にか時間が戻っているような不思議な感覚を覚えた和子はそのことを一夫に相談、一夫はテレポーテーションとタイムリープを同時に体験しているのではないか、と結論づけるのだが…。
・見どころ:
この映画は、様々な媒体で映像化されていますが、今回紹介するのは1983年の原田知世版です。
言うまでもなくこの作品は、原田知世の映画初主演作品であるとともに大林宣彦監督の「尾道三部作」(他の2作は「転校生」「さびしんぼう」)のひとつとされています。
大林宣彦監督の作品というのは見る人によって好みが分かれるところですが、尾道を舞台にした牧歌的なイメージと「タイムリープ」というSF演出とが見事に融合した本作は高い人気があります。
その後同じタイトルで複数の映像化作品が作られましたが、主演女優は南野陽子や安倍なつみなどアイドル女優の登竜門的な作品として挙げられることが多くなっています。
この映画の原作は筒井康隆のジュブナイル小説ですが、こうした傾向があるのも、この原田知世版の評価が高かったことが大きく関係しているのではないでしょうか。
・感想:
この映画を見直そうと思ったきっかけは、2006年のアニメ版「時をかける少女」でした。
このアニメ版は原田知世版である本作の続編として作られており、原作者の筒井康隆も「本当の意味での二代目」と高く評価しています。
しかし、それもこれもこの「偉大なる第一作」があったからこそ、というのが持論です。
確かに主演の原田知世は現在のアイドルとは比べるべくもないルックスではありますが、そのキャラクター性は決してひけをとりません。
また、現在では個性派俳優として活躍する尾美としのりもこの映画では良い味を出しています。
こうしたキャストの頑張りによってこの映画は今なお人気の高い作品として仕上がっているのでしょう。