・あらすじ:
フロリダの老人ホームで暮らす3人の老人・アート、ベン、ジョーの3人はある空き家のプールで泳ぐのが日課となっていた。
ある日そのプールに繭のようなものが浮いていることに気づいた3人だったがそのまま泳ぐことに。
ところがプールで泳いだ後突然体が元気になってくることを実感する老人たち。
実はこの繭は、100世紀以上前に地球にやってきたアンタレス星人の海に沈んだ先祖の姿であり、その末裔たちはなんとか故郷の星に戻そうと海から引き上げてこのプールに保管していたのだという。
繭に若返りの秘密があると知ったアートたちは、老人ホームの仲間にその事実を話し、他の老人たちも次々とこのプールへとやってくる。
だが、繭の中のアンタレス星人は…。
・見どころ:
この映画のテーマは「老いと死」です。
誰でも必ず年齢を重ねて老人となり、そして最期を迎えます。
そんな老いと死に抗うことができれば、と誰もが一度は考えることでしょう。
この映画はそのテーマについてSF的な考察を交えつつ観客に問題提起をします。
もしも死なずに生きることができれば、それは本当に幸せなのかどうか、と。
年齢を重ねた老人たちだからこそたどり着くことができる境地があるとして、でももしもまだ「その先」があるとすれば、そこまで行ってみたいと考えるのは自然なことかもしれません。
この映画のラストは老人たちの葬式で幕を閉じますが、実際には彼らは死んではおらず死を超越した惑星へと旅立ちます。
その事実を知っている老人たちの孫のなんともいえない表情がたまらなく素敵な映画です。
この映画には続編「コクーン2」もありますので、もしもこの映画を見るのであれば2本セットで見ていただきたいところです。
本当に人間にとって幸せなのは何か、ただのSF映画と思っていたら実に社会派の映画であることに驚かされることでしょう。
・感想:
とにかく出てくる出演者が実に元気です。
おそらくメインの出演者はほとんどがこの当時70歳をオーバーしているはずですが、設定上は「若返っている」ために非常に元気な演技を見せてくれます。
もちろん若返っているのは中身だけなので、見た目はシワがあり頭も禿げお腹もたるみ…と典型的な老人ばかりです。
この映画を撮影したロン・ハワードは社会派ノンフィクション作品の監督としても有名ですが、「老いと死」というともすれば重苦しいテーマをSFにからめることで見事にフィルタをかけることに成功しています。