・あらすじ:
ニューヨークの大学で教鞭をとるアレクサンダー・ハーデゲンは、ある日自身の恋人・エマを強盗に殺されてしまう。
エマを取り戻したい、その一心に取り憑かれたハーデゲンは自らの研究に没頭、ついに過去や未来に自由に行き来できる「タイムマシン」の開発に成功する。
過去に戻り、強盗に襲われるエマを救うものの、エマは別の理由で命を落としてしまう。
タイムマシンで過去に戻ったとしてもエマの「死の運命」を変えることができないのはなぜか。
ハーデゲンは答えは過去にはないと判断し、その答えを求めて未来へとタイムマシンを進める。
しかし、そこでハーデゲンを待っていたのは想像を絶する世界だった。
・見どころ:
この映画の原作はH.G.ウェルズの同名小説であり、過去に映画化された作品のリメイクです。
まず、この映画で目を引くのはやはりタイムマシンの造型でしょう。
中央部に搭乗者が座る椅子が設置されているのは原作と同じですが、
前部と後部に巨大なファンのようなものがあり、これが回転することで時間の跳躍を行います。
タイムマシンというものには様々種類がありますが、この映画に登場するタイムマシンは純粋に時間を超える機能だけに特化しており、
たとえば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンのようにその位置から物理的な移動をすることはできません。
つまり、タイムマシンのある位置はずっと同じであり、周囲の時間だけが変わっていく、そんな仕組みです。
この時間を超える場面のCGも極めて秀逸で、特に未来へ進むシーンはゴシック調の19世紀から20世紀、
そして21世紀へと文明が発展していく様子を早回しのように見せてくれます。
・感想:
見終わって考えると、いろいろとおかしい描写があることに気づきます。
たとえばおよそ80万年先のはるかな未来の地球では一度氷河期のような状態から人類が復興する、
という状況になっているのに、21世紀の図書館にあった機械がまだ動いていたり…。
電源はどうなっているのでしょう。
そんな野暮なツッコミをする暇もないのは、
この映画のラスボスともいうべきウーバー・モーロックを演じるジェレミー・アイアンズの圧倒的な存在感のおかげです。
「運命の逆転」でオスカーを獲得したこの名優は、特殊メイクをしていても画面を引き締めてくれますので、重厚感が高まります。
もちろん主演のガイ・ピアースの演技も素晴らしく、ただのSF映画として語るにはもったいない人間ドラマだといえるでしょう。