・あらすじ:
西暦2020年。
この時代の「ボクシング」というスポーツは人間がやるのではなく「ロボット格闘技」となっていた。
かつて将来を有望視されていたプロボクサーのチャーリーは、中古のロボットを使うプロモーターとして生活をしていた。
そんなチャーリーのもとへ妻が亡くなったとの連絡が入る。
妻との間にできた子供マックスの養育権を10万ドルで妻の姉夫妻に売ったチャーリーは、彼らが旅行に行っている3ヶ月間のみマックスを預かることにする。
前金の5万ドルを受け取ったチャーリーは、中古のロボット「ノイジーボーイ」を購入して再び試合に挑むが敗れてしまいせっかく買った「ノイジーボーイ」もまたスクラップになってしまう。
スクラップ置き場に忍び込んで使えそうな部品を探すチャーリー。
そこでマックスは古いロボット「アトム」を発見する。
動きをトレースするシャドー機能がついた練習用ロボットである「アトム」を使いマックスは試合に挑む。
・見どころ:
この映画では、近未来のボクシングとしてロボットを利用した格闘技が登場します。
ロボットではありますが、それを操る人間との関係はまさにトレーナーとボクサーの関係であり、ロボットの性能が良くても操る人間によっては勝つことがままならないのは現実のボクシングと何ら変わることはありません。
この映画ではロボットとの「絆」とともに親子の「絆」も描かれています。
「ウルヴァリン」シリーズで知られるヒュー・ジャックマンが人間的にも成長していく姿は、まさに全国の父親に見ていただきたい姿といえるでしょう。
・感想:
親子の絆は、映画のテーマとしては作りやすい反面ありきたりなものになってしまいがちです。
なにしろ、「いがみあっている親子がいる」「結果的に仲良くなる」という筋は誰もが思い浮かぶものだからです。
それだけに、そこに至るまでのプロセスはきれいに描いておかないと映画としての質や評価を落とすことになりかねません。
ではこの「リアル・スティール」はどうだったのかといえば、こちらについてはまさに非の打ち所のない内容だったといえるでしょう。
父親として体を張ることが息子との絆を取り戻す最も確実で最高の方法であること、これはシンプルですが最も観客に響く演出です。
子供とともに自分も成長してこそ、父親になれるのだということがわかるのがこの映画でしょう。
なお、この映画でマックス役を演じたダコタ・コヨはカナダの子役ということですが、話題作に多数出演しており、個人的に将来がとても楽しみな少年です。