・あらすじ:
コミックオタクのイギリス人のウィリーとゴリングスは、コミコンに参加するためにカリフォルニアまでやってくる。
彼らの目的はコミコンだけでなく、エリア51やロズウェルなどUFOに関する「聖地」を回ることでもあった。
そんな彼らがエリア51の前を通過した時、自動車事故に遭遇する。
乗っていたのは「ポール」と名乗る宇宙人!
ポールはウィリーたちの乗る車へのヒッチハイクを希望し、それに応じたウィリーとゴリングスは宇宙人ポールを乗せることに。
実は宇宙人ポールはエリア51の研究施設で研究されていたが、故郷の星へ戻るために脱走してきたのだという。
ウィリーとゴリングスは、ポールをなんとか故郷の星に戻せるように協力することを決意するものの、それを政府の機関が許すはずもなく追跡が始まっていた。
・見どころ:
宇宙人との接近遭遇といえば、「未知との遭遇」や「E.T」などが有名ですが、この「宇宙人ポール」では、こうした「宇宙人ものSF映画」の基本的な流れをなぞりつつストーリーが進行します。
宇宙人との奇妙な道中には次々と個性的なメンバーが仲間に加わりますが、その中にコメディエンヌとして名を馳せるクリステン・ウィグが含まれているのも見逃せないポイントです。
おそらくは何らかの特撮で造型されているポールのデザインも「いかにも」な宇宙人としてデザインされており、こちらも実に表情豊かな存在として描かれています。
最初にポールと出会うのがコミックオタクの二人組、という点も着眼点が面白く、最後まで飽きさせない作りでした。
・感想:
この映画を見ようと思ったのは、「宇宙人ポール」の宣伝画像です。
グレイタイプの宇宙人ポールが車の運転席でイギリス人男性と一緒になって驚いている、あのシュールな画像がきっかけでした。
宇宙からきた宇宙人を故郷の星に戻そうとする、このストーリーの流れだけを見ればあの名作「E.T」とほとんど同じです。
しかし、出演者が少年ではなくコミックオタクというだけでここまでアレンジされるのか、と新鮮な驚きを持って見ることができました。
と同時に、この手の映画の主人公にコミックオタクを配置するというセンスが実に現代的であるとも思いました。
作劇上ポールが英語をしゃべる必要性があったことも含め、全体的に「B級」感が漂いますが「A級映画を狙ってC級になってしまった」映画が多い中で「B級映画を狙って本当にB級映画になった」というこの映画は評価されて然るべきと思うのです。