・あらすじ:
人類は月面に基地を建造するまでになった未来、アメリカのフロイド博士は月で発掘された謎の物体「モノリス」を調査していた。
調査中に突然モノリスは強力な信号を木星に向けて放ち、フロイド博士たちは宇宙船ディスカバリー号を木星まで派遣する計画を実行する。
ディスカバリー号の乗組員ボウマンは、船のメインコンピュータ「HAL」から木星の探査計画に疑念を抱いていることを打ち明けられる。
その直後HALはディスカバリー号が故障したことを告げる。
果たしてHALの真意は、そして、モノリスとは何か。
・見どころ:
この映画の驚くべき点は、現在ならCGで済ませてしまうであろう部分をすべて「特撮」で行っているという点です。
しかしながら、この映画の最も驚くべきポイントは、その「SF的描写」ではなく、「未来の描写」にあります。
この映画が撮影されたのは60年代ですが、いかにもその時代の延長線上にあるであろう世界観の構築、これこそが「2001年宇宙の旅」という映画で本当に見るべきポイントです。
確かに21世紀を過ぎた現在ではややチープな描写もないわけではありませんが、では見劣りするかといえば決してそのようなことはありません。
特にシャトルの待合室の空間は、無駄を省いたシンプルな構成となっています。
このあたりは、未来とは合理性の果てにあるのではないかと考えたスタンリー・キューブリック監督のイデオロギーが現れていると見ることもできます。
なお、この映画の成功でキューブリック監督はSF映画というカテゴリーで一定の地位を築きますが決してSF映画しか撮影していないことも付記しておきます。
・感想:
この映画を初めて見た時、不覚にも途中で寝てしまいました。
それぐらい難解で、コンセプトすらまともにわからない子供だったのでしょう。
それまでに見たことのある宇宙を舞台にしたSF映画といえば、「地球をねらう侵略者」や「惑星間戦争」のどちらかがテーマだったので、「2001年宇宙の旅」のように哲学的・宗教的なテーマのSFは初めてでした。
もちろん今見ても何のことか説明できるかといえばやはり難しい映画です。
状況を判断するためのセリフが少ないというのがその要因ともいえますが、このあたりは状況判断は観客にゆだねられていると考えることもできます。
この映画が今なお「傑作」と呼ばれているのは、そのテーマ性もさることながら、見る人によって解釈が異なる自由度の高さと見るたびに新しい発見がある点に依るところが大きいのではないでしょうか。