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・あらすじ:
「大亜細亜連邦共和国」と「ヨーロッパ連合」との間で長い戦争が続く時代、かろうじて戦争に勝利した大亜細亜連邦では環境破壊と汚染が深刻化していた。
そんな中、遺伝子工学の権威である東博士は、「新造細胞」を発表、実用化のための資金援助を各財界へと打診する。
この新造細胞は、再生医療に応用が可能ということで、自身の体調への応用を考えた上条将軍の提案から軍上層部が支援をすることになった。
そのことを貿易商社「日興ハイラル」の社員である内藤から伝えられた東博士はその支援を承諾する。
東博士には妻・ミドリの病気を治すためにこの新造細胞を完成させる必要があった。
研究ばかりに没頭する父親に反発するように、東博士の息子・鉄也は軍への志願を決意するが、作戦行動中に鉄也は戦死してしまう。
その頃東博士の研究所では多数の死体を前に新造細胞の研究が進められていた。
突如として新造細胞が活性化、死体は結合し「新造人間」として蘇生した彼らは、人類に対して宣戦を布告する。
そして鉄也もまた、新造細胞によって蘇生するのだが…。
・見どころ:
この映画はかつてアニメとして放映されていた「新造人間キャシャーン」の実写映画化作品です。
しかし、キャラクターの名前と一部の設定を除いてほぼ別物の作品となっています。
監督は当時宇多田ヒカルと結婚していた紀里谷和明ですが、CG技術も相まって退廃的な雰囲気を醸し出すことに成功しています。
また、この映画はキャスティングも豪華なものとなっており、主演の伊勢谷友介をはじめ寺尾聰や小日向文世、西島秀俊、及川光博など一線級の俳優が多数名前を連ねています。
特に東博士の妻ミドリを演じた樋口可南子は、ソフトバンクのCMで見せるようなコミカルな姿とは全く違う姿を見せてくれます。
彼女の名演技も見どころのひとつといえるでしょう。
・感想:
「新造人間キャシャーン」の実写映画化ということで派手なアクションがあるのかと思っていましたが、実際にはそれほど「アクションシーン」は多くはありません。
むしろ人間の内面的な描写に時間を多く割いており、なぜ人間は戦うのか、という普遍的な問が映画全体を通した大きなテーマとなっています。
「見どころ」の項でも書きましたがこの映画は全体的に退廃的な雰囲気が漂う暗めのトーンで描かれており、一種の「ディストピア映画」としても見ることができます。
ヒーローアニメが原作とは思えない重い作品でした。